糖尿病患者さんの1%が両眼失明の危険性があります。また、糖尿と診断がついたら、年に1度は必ず眼科で散瞳眼底検査((薬で瞳を開いて眼底検査をすること)を受けて下さい。眼底写真の判定だけでは、眼底の十分の一位しか見られません(図17・1)。

図17・1
糖尿病網膜症の自覚症状はかなり進行しないと出ません。眼底変化は、血管障害のための眼底出血が主な所見となりますが、3つの進行段階(図17・2):単純(図17・3)、前増殖(図17・4)、増殖(図17・5)に分類します。

図17・2

図17・3

図17・4

図17・5
初期は、進行はゆっくりですので経過観察でよいのですが、ある程度進んできます(前増殖型)と急速に悪化してきます(図17・6)。前増殖型になったら、光凝固治療を行うことで進行を止めます(図17・7、図17・8)。光凝固治療は、糖尿病網膜症に対する一番強 力な武器ですが、基本的に進行を遅らせるためであって、視力を上げることはできません。また光凝固を行うと、視野(物が見える範囲)が狭くなり暗くなってしまいますので、早すぎる光凝固は有害です。一方で、遅れますとこの治療も役に立たなくなってしまいますので、適切な時期を逃さないよう眼底の定期検査を行うことが非常に大切です。 増殖型となりますと、視力維持は大変難しくなります。硝子体手術を行いますが、壊れてしまった網膜はもとに戻せませんので、視力は大変悪くなります。眼鏡をかけても0. 5以上の視力が取り戻せるのは25%程で、多くは0.1以下の視力となります。

図17・6

図17・7

図17・8
血糖値のコントロールが厳密に良ければ基本的に進行しません。眼底変化のない糖尿病患者さんを血糖値コントロールがあまり良くない群と良い群について9年間網膜症の発症がどのくらい違うか調べた研究があります。HbA1c(ヘモグロビン エーワンシー)とは血液検査で簡便に判る血糖コントロールの目安で、最近1ー2ケ月間の血糖値の値を示しますが、HbA1cの平均が9.0%だった患者さんでは、9年後には54%に網膜症が発症しましたが、7.0%だった患者さんでは11.5%と、発症が1/5に減少しています (図17・9)。

図17・9
糖尿病で失明しないためには、日頃からの血糖のコントロール(HbA1cが7.0%以下)を 行なうこと。また定期的な散瞳眼底検査を行い、もし網膜症が発症したら、前増殖型の 段階で光凝固を行なうことが何より大切です。
篠原眼科 院長 広瀬 茂人先生
北海道/帯広市医師会がお送りしている身近な病気についてのQ&A集です。
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