プ-ルで泳いだり遊んだりするのは、体力向上やストレス発散に有効なのは明らかだが、人間は魚でもイルカでもないので、私たちの皮膚は水にはあまり向いていない。水に長時間浸かっていると皮膚に水分が入り大事な成分を溶かし出してしまう。もちろん、皮膚の生きている細胞までが流れ出るようなことはないが、一番問題なのは保湿成分が失われることである。その結果、乾燥肌を引き起こしてしまう。
水に接したせいで乾燥するということは一見矛盾するようだが、次のように考えると分かりやすい。私たちの皮膚は普段、水分の蒸発を防ぐためワックスで覆われているが、水に浸されているとワックスが取れてしまい、プ-ルから出て空気にさらされると水分が飛んでいってしまうのである。ワックスが再生するにはある程度の時間が必要である。当然ながらこれらのことはプ-ルに限ってではなく、海水浴や入浴、洗顔のしすぎでも生じる。乾燥肌になるといろいろな皮膚病が起きやすくなる。あらゆる刺激に対して防御力が低下する。皮膚自体から外気に水分が出ていくだけでなく、外界から皮膚へいろいろなものが入りやすくなる。
皮膚の乾燥以外の問題点は、プ-ルの水に、意図的に、あるいは不本意ながら含まれているいろいろなものである。多くの公共プ-ルでは、殺菌の目的で塩素が入れられているが、濃度しだいでは皮膚に影響する。また、空中浮遊物が落下したり、大勢の人間が泳ぎに来るので、汚染を完璧にシャットアウトするのは不可能である。
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他に、水着・水中めがねによる接触性皮膚障害や、屋外プ-ルでの日光・紫外線の影響もあるのだが、これらはプ-ル自体の問題ととらえる必要はないだろう。
理論はこれくらいにし、プ-ルで起こりうる具体的な疾患をあげてみよう。皮脂欠乏性湿疹、皮膚そう痒症、各種皮膚感染症など。このうち、皮脂欠乏性湿疹は乾燥肌そのものがひどくなったもの、皮膚そう痒症はかゆみ刺激に敏感になったもの(乾燥とは無関係の皮膚そう痒症もある)。
プ-ルでの皮膚感染症でもっともよく知られているのが、伝染性軟属腫(みずいぼ)で、この原因ビ-ルスはプ-ル水の中で長時間生きている。風呂のお湯はもっと高温だから死滅が早い。みずいぼは、重大な病気ではないが伝染性疾患である以上、早めに治しておくべきである。
白癬(みずむし)はプ-ル水でうつるわけではなく、更衣室などのジメジメしたところでうつる可能性はある。
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その他、各種細菌感染があるが、よほど免疫力の低下した人以外では現実的にはほとんどおこらない。
特殊なものでは、皮膚に傷があったり、プ-ルでけがを負った際に非定型抗酸菌症という多少やっかいなものにかかることがある(頻度はプ-ルより熱帯魚の水槽が多い)。痛くないが、普通の抗生物質では治らない。こんな病気にかかるのは宝くじの1等が当たるより低い確率なので心配ない。それでも、プ-ルに通っているとか熱帯魚を飼っている人で、ちょっとした傷なのになかなか治らなかったり、少しずつ腫れてきたという場合には、皮膚科を受診してほしい。皮膚科専門医でさえこんなめずらしい病気は頭に浮かばない時もありえるので、「実はプ-ルによくいくんです」、「熱帯魚を飼っているのですが関係ありませんか」などとヒントを与えてもらうと医者は『ヒョットシテ、アノ病気ダッタリシテナ』と考え始める。
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以上、プ-ルで起こりうる皮膚疾患について一通り述べたが、プ-ルを否定する意味合いは全くなく、人間にとって泳ぎを習得しておくことは重要だし多くのメリットもあるわけで、大いに利用していいと思う。我が国では何事もデメリットには目をつむろうとする傾向があるので、あえてやや詳しく説明したまでである。
医療法人社団あんどう皮膚科 院長 安藤 正明先生
北海道/帯広市医師会がお送りしている身近な病気についてのQ&A集です。
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