単に皮膚科疾患といってもアトピーから、かぶれや、やけどなど 極めて多岐に及んでおります。
今回は日常的に引き起こされる疾患でありながら、比較的話題になることが少ないために誤解されやすいものとして「虫による皮膚障害」にスポットを当ててみましょう。現代では冬でも虫さされは珍しくありません。
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たかが虫けら、されど!?
「虫と皮膚」ということからどんなことが頭に浮かびますか?
ちょっとだけ考えてみてください。・・・どうでしょうか。キャンプ場で蚊にさされて痒くて大変だったといった実体験とか、虫食われ、蜂アレルギー、ノミやシラミのような単語を思い浮かべた方が多いでしょう。あるいは、水虫という答えもあるかもしれません。それじゃあ、マムシ(蝮)に噛まれたなんていう場合だってあるぞ!と思われる方もいるでしょう。もちろんどのような答えでも間違いではありません。ただ少々連想して欲しかっただけなのですから。
しかし、蚊や蜂は確かに虫だが、マムシとなると、こいつはヘビだから虫なんかではない。単なるダジャレ(つまり"マ虫")にすぎないという意見が聞こえてきそうです。ですが、ヘビは長虫ともよばれることから虫のたぐいといえなくもないのです。ところが、水虫となると現在の医学では虫ではなく菌類が原因だということはご存じでしょう。
以上のことから本題に入る前に、"虫"というものについて 少し整理してみることにします。
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それでは、どのようなものを私たちは虫と言っているのか。
虫の定義は何か。
これがはっきりしていれば話は簡単なのですが、よくわからないのです。
いまさら何を言う!と、非難されそうですが、虫とは科学的な用語ではありませんから、あいまいな概念のもとに感覚的に使われている単語なのです。
ちなみに、虫に相当する英単語は無いらしいのです(近いものではBug、Insect、Wormなどがあるが、いずれも"虫"にはぴったりしない)。
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もちろん、昆虫は虫の代表格といってもいいでしょうが、昆虫ではないクモやムカデも虫でしょう。クモに近い生き物であるダニも虫だろうと感じる人が多いでしょう。
しかし、生物学的にはクモのなかまであるサソリとなると身近なものでないせいもあってか感覚が曖昧になり、ミミズ、トカゲ、ヘビ、カメとなると、何割の人が虫というか、もはやわかりません。
まあ、ヘビやカメだって虫だという人は少数派には違いないでしょうが。古くは"蟲"という字があり、小さくてうごめいている生き物を指していたようで、その当時は、むしろ"虫"の字の方が、ヘビやカメなどを意味していたと書いてある本を読んだことがあります。
このように、時代や地域、さらには個人個人の虫に対する関心の度合いによっても違いが出るでしょう。といっても、さすがに菌類(カビなど)、細菌類などは 通常は虫とは呼ばれないようです。したがって、ここでは便宜的に "虫"とは、昆虫のすべて、ダニとクモのすべて、それら以外の節足動物の一部、ミミズに似たような生物の一部、とします。海中の生物は一応はずします。
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昆虫による皮膚疾患――冬の十勝で蚊にさされる!?
カ、アブ、ブユ、ハエ、ハチ、アリ、ガ、ノミ、シラミ、なんきんむし、ハネカクシなどによる様々な皮膚疾患があります。
これらには、吸血によるもの、毒針で刺すもの、その他と分けられます。 吸血によるものの代表はもちろん蚊ですが、全ての蚊が吸血性ではなく、吸血しない種類もあるそうです。また、知っている方も多いでしょうが、吸血するのは雌だけで、雄は花の蜜を食べています。
蚊が媒介する病気にマラリア、日本脳炎などがあり、世界的な大問題なのですが、ここでは割愛します。蚊が刺すのは夏と思われがちですが、近年チカイエカという寒冷に強い蚊の数が増えており、冬の北海道で蚊にさされるということが不思議ではなくなってきました。蚊に刺されると赤く腫れますがその腫れる程度は一人一人の体質によります。
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ほんの米粒程度にふくれて数時間で消えてしまう人や、直径30センチにも腫れ上がる人もいます。
その体質は一生変わらないわけではなく、乳児では腫れにくく、幼児から小学生くらいが大きく腫れやすい傾向があります。
腫れが巨大でも、化膿しない限り大した心配はなく、適切な外用剤と内服薬等で治ります。ちなみに、昔から虫さされには尿やアンモニアを塗ると効くといいますが、根拠はないようです。
また、冷やすのは良いのですが、筋肉痛用のシップは逆効果になることがあります。近ごろ市販されている円形の虫刺され用絆創膏は有用ですが、化膿しているのに気づくのが遅れる場合もあるようなので、貼りっぱなしにしない事です。
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蚊に刺されて一番の問題は刺された部分だけでなく全身に発赤や蕁麻疹ができる場合、すなわち蚊アレルギーです。
蚊アレルギーの方は皮膚科などでアレルギー検査や適切な指導を受ける必要がありなす。それとは別に、刺された所が5ミリくらいの塊となり治るまで何ヶ月も激痒に悩まされるという疾患(結節性痒疹)があり、皮膚科医にとって難渋するものですが、逆に医者の腕の見せ所ともいえます。
アブ、ブユ、ハエによる虫さされは基本的に蚊によるものと同じで、発疹だけを診て蚊なのかアブなのか区別するのは相当困難です。ここで、 ハエが刺したりするか!と疑問を持つ方もいるでしょう。もちろん、 普通のイエバエは刺しませんが、日本、さらに十勝でもサシバエがいるらしいのです(ただし、詳細不明)。
また、吸血とは別にハエの子が生身の人間に取りつくことがあります。これは極めて特殊な環境に置かれた場合だけですので、一般の方は御安心を。
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話がちょっとそれますが、同じ部屋で家族と寝ていたのに一人だけ集中的に虫に刺されることが実際にしばしば起こります。なぜそうなるかは、状況により一概には言えませんが、やはり、虫の好みというのがあるのでしょう。
"虫"たちは、フェロモンなどの、言わば「匂い」に支配されて活動しており、吸血に際し、動物からの乳酸や炭酸ガスなどの美味そうな匂いや、赤外線の暖かな香りに飛びついてくるのです。そうした乳酸などを多く匂わせている人が、"虫に好かれる"というわけです。また、蚊の場合、血液型がO型の人が刺されやすいという実験結果があるそうです。
医療法人社団あんどう皮膚科 院長 安藤 正明先生
北海道/帯広市医師会がお送りしている身近な病気についてのQ&A集です。
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