乳ガンは欧米の女性に多く,日本の女性では比較的少ないとされてきました。それが最近では食生活の欧米化に伴って,日本でも乳ガンの患者さんが急増してきています。
<発生>
乳房は,出産時に乳汁を分泌する役割を持っています。その中には乳腺と呼ばれる線組織が存在しています。乳汁は小さな腺房から分泌され,それが徐々に集められ乳頭 (乳首)から最終的に出されます。
乳ガンは乳腺から発生します。ほかの癌に比べてゆっくり増殖するものが多いのですが,治療をしなければ周囲に広がり脇の下のリンパ節や,骨,肺,肝臓などに転移します。
<治療>
乳癌の治療法は患者さんの腫瘍の大きさや病気の程度によって違います。また,治療 を受ける病院によっても多少異なることがあります。ですから,治療を受ける方は十分 なインフォームド・コンセント(病気の説明を医師や看護婦からよく聞き,不明なことは質問し,患者さん自身が十分納得する)のうえで治療を受けることが大切です。
乳ガンの治療法には,手術,放射線照射,化学療法(抗ガン剤),内分泌療法(ホルモン療法),免疫療法(体内の抵抗力を高める)などがあります。この中で,基本とな り,第一選択となるのは手術です。その理由は,体の中に出来た悪い細胞を全て取り除 いてしまうことが大切で,他の治療を行うにしても悪い細胞の数が少ない方が成功の確率が高くなるからです。
<乳ガンの手術法>
乳ガンの手術法は乳房全部を外科的に取り除く乳房切除術と,乳房の大半には手を着けずに乳腺の一部を切除する乳房温存術に大きく分けられます。
<乳房切除術>
胸筋温存乳房切除術は現在もっとも標準的な手術方法で,患側の乳房を全て取り,胸の筋肉(大胸筋,小胸筋)を残して脇の下や鎖骨の下のリンパ節を切除します。この手術以前には胸筋合併乳房切除が標準でしたが,近年,乳ガン手術は縮小傾向にあり,この方法は少なくなっています。
<乳房温存術>
近年,乳ガン手術の縮小化に向けた研究が盛んに行われています。その結果,放射線 照射を加える乳房温存術(乳房温存療法)は,ある適応条件を満たす患者さんを対象とした場合に,胸筋温存乳房切除術と変わらない生存率が得られることが分かってきました。
<乳房温存療法の適応>
日本乳癌学会では乳房温存療法の適応について以下のガイドラインを示しています。
乳房温存療法は十分なインフォームド・コンセントが得られた患者さんにおいて以下の適応条件で実施する。また,原則として浸潤癌を対象とするが,非浸潤癌を対象とした場合も当分の間,本ガイドラインに準拠して行うものとする。
以上のガイドラインは1998年5月のものですが,未だ固定したものではなく各種検討 が必要とされています。したがって近い将来見直しがなされ,何らかの変更がされるものと考えられます。
(前)JA北海道厚生連帯広厚生病院 外科医長 真名瀬 博人先生
北海道/帯広市医師会がお送りしている身近な病気についてのQ&A集です。
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